第11話:奇跡の再会「やっと会えたね。」

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第11話:奇跡の再会
「やっと会えたね。」

<<前回までのあらすじ>>

ススムは、高校で学年主任そしてクラス担任として、仕事をしていた。ところが、1学期は、カナが交通事故で首の骨を折ったと連絡を受け後、それきり、行方知らずとなり、その捜索に追われていた。しかし、およそ6ヶ月後、カナから、絵ハガキをもらい、安否がわかり、ほっとしたススムであった。


絵葉書をもらい、不安から解放されたススムは、カナの身体を案じながらも、一ヶ月後、カナに電話をかける。


「生きていてくれて、ありがとう!」

ススムは、自分の部屋で、カナから届いた絵葉書を抱えながら、叫んだ。

ススムは、冷蔵庫から、冷えた缶ビールを取り出し、一人で祝杯をあげた。心地よいアルコールが身体を一気にめぐり、ますます夢ごごちになった。

気持ちよく酔えたススムは、安堵感と自分が顧問として引率したサッカー部の合宿の疲れから、あっという間に睡魔に襲われ、そのまま、ベッドに倒れ込んだ。

ススムは、もう悪夢を見ることはなかった。ただただ、カナとのラブラブな夢の中で、「カナ、愛しているよ。」と、寝言を言っていた。(実際にそんな寝言を言ったかは、自分のことなので、本当のところはわかりません。推測でしかないですが、それほど、嬉しかったことは事実です♪)



ススムの勤める高校の夏休みが終わった。夜になると、鈴虫が秋の訪れを、優しく告げていた。

二学期が始まり、ススムにとっては、とても楽しいときが、また始まった。大好きな生徒たちとの心の触れ合いが、待っていたからである。

でも、それに比べて、一学期は、最悪だった。連絡の取れないカナの身を案じ、毎日、寝るまでカナのことばかり、考えていた。生徒のことを考える余裕はなかった。(生徒たちには、すまないことをしました。ごめんさい。)

その苦しい一学期を耐え抜いて、迎えた二学期は、違った。カナからの連絡と生徒たちとの再会。二重に輪をかけて、最高な気分だった。

(カナと生徒たちが、ススムに、どれほど幸福を与えてくれているか、実感できる秋を迎えたのだ。⇒第8話

9月1日、学校の始業式。生徒たちと再会し、満面笑顔のススムは、生徒たちからも、「先生、何かいいことありましたか?」と、訊かれた。

もちろん、本当のことは言えなかったが、「みんなに、また会えたからだよ♪」と、笑顔で返し、幸せオーラを周りに出しまくっていた。

気持ちが高ぶる始業式の一日を終えると、帰宅しすぐに、カナの携帯に電話をした。

カナから、葉書をもらったあと、一ヶ月間、携帯に留守電メッセージを入れていたが、カナが電話に出て直接話すことは出来ないでいた。

安静にしているカナのことを考えれば致し方ないと思っていた。

それに、もう行方知らずではないのだし、、、

でも、この日は、落ち着いて留守電メッセージを入れる気持ちはなかった。学校での高揚感が残っていたからである。

(無理だと思うけど、出てほしいな。)

携帯の発信音「トルル、トルル、トルル、、、」が、しばらく続いた。

(やっぱり、留守電サービスに繫がるかな。

きっと横になって安静にしているんだろうな。)

でも、なぜか、今日は、すぐに留守電サービスに繋がることはなかった。

ドキドキしていた。

そして、そのまま、切らずにいた。

(カナちゃん、出てくれ。)

発信音が止まった、、、

「もし、もし。」

小さな声だったが、はっきりとカナの優しい声が、耳に響いた。

(こんなに嬉しい「もしもし」は、なかったです。)

その声を聴いた瞬間、ススムは、嬉しいのに、慌てて言った。

「ありがとう!電話に出てくれて。でも、寝てたよね。」

ススムは、久しぶりのカナの声を聴いたのに、何も気の利いたことも言えなかった。
聴こえてくるカナの声は、つらそうだった。

「大丈夫よ。こっちこそありがとう。うん、今も横になってたよ。」

「うん、そうだよね。お大事にね。じゃあ、切るね。」

「うん、じゃあね。電話ありがとう。また電話してね。」

これ以上は、カナの身体のことを考えて、すぐにススムは電話を切った。

でも、たったこれだけの会話なのに、ススムには十分すぎる内容だった。

ずっと、6ヶ月間、連絡もとれず、ただただ安否を心配し、ようやく愛しているカナの声を聴けたのである。

(これ以上、何を望めばいいのでしょう。)

もちろん、まだカナの身体の具合は良くはない。それでも、ススムの電話に応えてくれた。それが嬉しかった。

それに、カナは最後に、「また電話してね。」と言ってくれた。

まだまだ、カナの体調はすぐには、良くならないだろう。でも、電話してもいいという気持ちを聴けただけで、ススムは幸せだった。


 

電話だけのデート。それでも、カナもススムも楽しかった。


ススムが勤める高校の校庭の側道には、大きな樹木が並んでいた。その木の葉も、次第に黄色から赤へと、変わりつつあり、秋も深まっていった。

その落ち葉を眺めながら、ジャージに着替えたススムは、ストップウオッチとホイッスルを手にして、グランドに出た。放課後のサッカー部の練習が始まるのだ。

サッカー部の顧問のススムは、秋空の下、いつものように、チームの選手たちを集め、秋季大会に臨む姿勢について、話した。

そして、ベンチに、どかっと座り、後は、OBのコーチ、坂崎君に任せ、静かに練習を見守った。

選手たちの元気な声を聴きながら、ススムは、自分の人生に感謝していた。

「高校教師として、カナの恋人として、こんな幸せをもらえて、ありがとうございます。」と、天に向かって、つぶやいた。

すると、ドスンと、ススムの頭に何かがぶつかった。ススムの頭が、横に大きく傾いた。強い衝撃ではなかったが、見ると、ススムの横で、サッカーゴールが弾んでいた。(幸いなことに、直接ではなく、何度かバウンドしていたので、勢いはなかった。)

「先生!大丈夫ですか!」と、コーチの坂崎君が、遠くから、ちょっと笑いながら声をかけてきた。選手たちも、同じように、笑っていた。

練習に集中せず、あらぬ方向に、目を向けていたススムに、天罰が下ったのだ。(笑)

ススムは照れ隠しに、すくっとベンチから立ち上がり、転がっているサッカーボールを、手に取り、遠くに立つ坂崎君にめがけて、高く蹴り上げた。

高くあがったサッカーボールの向こうには、大きな青空が広がっていた。

まるで、ススムの明るい未来を見せてくれているようだった。



(幸せぼけの続きです。w)

ススムは、新しい日課を始めた。新しくノートを購入し、そこに、日記というより、その日の思う雑感を書くことにした。

9月1日 (晴れ) 二学期が始まった。元気そうな生徒たちの顔を見て、私も元気をもらえた。明日からの授業、がんばるぞ!           

カナは、何しているかな?きっと、部屋で好きな音楽を聴きながら、寝ているんだろうな。カナは、『エンヤ』が好きだって言っていたよな。今度CDを買ってプレゼントしよう。

9月2日 (晴れ) 久しぶりの授業だった。3年2組の授業は楽しかったけど、ちょっと脱線しすぎたかな。だけど、3年生は最後の文化祭なんだから、いい思い出を作ってほしい。と言っても、ちょっと熱く語りすぎたかなw

でも、仕方ない。こんなに心が熱くなれるのは、昨日カナの声を聞くことが出来たんだから。こんな幸せはない!

早く、カナに逢いたいな♪



そして、ほんの時より、カナに電話をかけ、そのノートに書いたことを話したり、カナとデートごっごをしたりした。(カナの体調のことがあり、月に数回話すことができれば、いいほうだったが。)

(正直言って、私は、カナの身体の本当ことは何もわかっていませんでした。容態を、カナに直接聞くことも出来ないでいました。それを尋ねて、困らせることはしたくなったですし、カナから直接、話してくれるまで待つことにしていたのです。

実際のところは、交通事故で首の骨を折り、手術は成功したようでしたが、どこかに麻痺があって、車椅子が必要なのかもしれないと、考えることもありました。

もちろん、どんな身体になっていても、私は、構わないと思っていました。

今、改めて思えば、、、

カナに気を遣いすぎたかしれません。

確かに、カナは壮絶な体験をしていましたが、本人は、事故当時前後1週間は記憶にないとも、言っていました。

むしろ、カナの身体を思えば、もっと積極的に、どんな容態になる可能性があるのか、調べて、カナに直接アドバイスなり、心の援助ができたかもしれません。

待つよりも、愛する女性に、何ができるのか、もっと考えてもよかったと思います。)

「じゃあ、今日は、ハワイに行くことにしよう。ハワイはどこに泊まりたい?」

「わー!ハワイ、いいな。カナ、ハワイに行きたかったんだ!カナは、ピンク色が大好きだから、ロイアルハワイアンがいいな♪」

「そうなんだね。それはピッタリだね。あのホテルは、ピンク色の建物だからね。」

「楽しみ〜!それと、どんな水着着てほしい?」

「いや、それはカナちゃんに任せるよ。カナちゃんが着れば何でも似合うし、、、」

「そうなの?それじゃね、、、真っ赤なビキニ!日本じゃ、恥ずかしいから無理だけど、ハワイだから、あっちの女の人たちのように、Tバックの水着にするね♪」

「う、うん…………^^;」



「今日はどこに行こうか?」

「今日は、、、カナはお腹空いているから、何か食べに行きたいな♪」

「何が食べたい?僕は寿司が食べたいと思ったんだけど。」

「カナ、お寿司大好き!気が合うね。ねえねえ、お寿司は何が好き?」

「やっぱ、エンガワかな。」

「えっ、まじ?わたしも!炙ったエンガワ、最高よね♪」

「うん、うん!香ばしくて、歯ごたえもよくて、最高だよね。」

「私達って、ほんと、何でも気が合うね♪」



こんな風に、カナとススムは、電話で話が出来るときは、疑似デートをして楽しんだ。金魚すくい、花火大会、ディズニーランド、プール、ケーキ作り、クリスマス、誕生日会、などなど。

色んな夢デートをしていました。^^)

でも、あるときの電話で、カナがいつもと違って、しんみりと言った。

「ススムさんは、本当に優しいね。電話しか出来ないのに、楽しそうにしてくれて。ありがとう。

でも、私、わかってるよ。ススムさんの気持ち。私と同じだと思う。」

「その気持ち、当ててみようか。」

「じゃあ、同時に言いましょ。

いい?

いっせ~のせっ!」

「はやく逢いたい!」
「はやく逢いたい!」

二人の心が、空間を越え、一つになった瞬間だった。



それでも、カナの体調は、すぐには復活しなかった。(それはそうですよね。首の骨折と膠原病を抱えていたのですから。)

限られた『デート』を楽しむしかなかった。

そして、数ヶ月があっという間に過ぎ、外気も冷たくなっていった。


ようやく時を超えて、カナとの再会を果たす。

街には、クリスマスソングが流れる中、いそいそと人々は街を歩いていた。

外気は冷たいのに、誰か愛している人を思って、幸せそうにしているように見えた。

ススムにも、もちろん、カナがいた。でも、、、まだ会えていない。

いやいや、がまん、がまん。



家に帰り、暖房のスイッチを入れた。

お湯を沸かし、お気に入りのドリップコーヒーを入れた。

コーヒーのいい香りと温かい湯気の中で、ススムは携帯でカナにいつものように、電話をかけた。

カナは、比較的体調が良ければ電話に出てくれていた。そのとき次第だが、ススムは出なくても構わない。出てくれたら、それは神様がくれたプレゼントと考えるようにしていた。

発信音が止まり、カナが出てくれた。(カナちゃん、ありがとう)

「もしもし、カナちゃん。どう調子は?」

カナの声は、少し元気なく聞こえた。(冬になり、気温が低くなると、骨折した箇所が、痛くなることが、後でわかりました。)

「もしもし、ススムさん。うん、今日は、ちょっと首が痛いけど。

でも、最近は調子いいときが多いよ。

調子がいいときはね、少し外を歩くようにしているんだ。」

(それにしても、首の骨を折って、ここまで回復するのは、奇跡だと思います。状況によっては、半身不随になる可能性も、あったわけですから。首には腰の骨を移植し、さらにチタンが埋め込まれていましたが、医学の力に感謝しないわけにいかなかったです。)

「そうなんだ。良かったね。でも、無理しないでね。」

ススムは、やっぱり気が引けて、もう電話を切ろうと思った。ところが、カナが続けてこう言った。

「ありがとう。それでね、私、そろそろ、仕事をまたやろうかなと、思っているんだ。」

ススムは、その言葉に、耳を疑った。

「えっ?」

「あのね、気をつければ、普通に動けるから、またお店に出ようと思うんだ。だって、お店の仕事は、座っていればいいんだから。」

何だか、カナは、頑張って力を入れて話しているようだった。

その言葉をススムは驚いて聞いていた。

「それに、知っているでしょ。私が家にいたくないのは。」

(カナが家にいたくないと言う理由は、、、小さいときから父親と確執があり、家にいると、ことあるごとに、罵倒され、場合によっては、DVもあったからだった。)

反対する気持ちもあったが、カナの気持ちを優先しようと、我慢した。

ススムの顔は、曇っていた。

(電話でよかった、表情を見られるに済んだから。)

「それでね、お店に行く前に少し、ススムさんに会いたいんだけど、いいかな?」

ススムは、えっマジと、手のひら返しで、顔がほころんだ。

「本当?もちろん、いいよ。」

「ほんと、うれしい!」

「じゃあ、僕の家に来なよ。」

「そうしたいけど、今は外には出るのは、弟に頼るしかないの。お店にも、弟が車で送り迎えしてもらうんだけど。

弟の車で、ススムさんの家に行ったら、きっと父に知られて、怒られる。何やっているんだって。

お店に出るって言っただけでも、罵倒されたんだから。

もうお父さんの怒鳴り声は、聞きたくない。

だから、今はお店でしか会えないんだ。ワガママでごめんね。

元気になったら、ススムの家には、絶対に行くから。許して。」

それでも、ススムは、カナと久しぶりに会うのだからと、店ではなくて、他の場所で会いたいと、提案した。そして、二人は、カナが店に出勤する前に、店の近くの喫茶店で会うことにした。

こうして、二人は、あの交通事故以来、10ヶ月ぶりに、会うのである。

ススムは、約束した喫茶店に、向かっていた。その時の気持ちを説明するのは、どのように言葉を、使っても表現できない。

でも、ストレートに言えば、もう本当に、うれしくて、うれしくて、うれしくて、うれしくて、、、(しつこいですねw)

天にも昇るような気持ちでした。

(あなたなら、どう思いますか?自分の恋人が、交通事故に遭って、首の骨を折り、その後、どこの病院にいるのかもわからず、術後の経過もわからず、6ヶ月間、一切連絡が取れないまま日々が続き、その後、再び連絡が取れるようになって、やっと会えるとなったら。

私の気持ちも、ご理解して頂けるのでは、と思います。)


カナとの待ち合わせの喫茶店に着いた。ススムは、不思議な高揚感に体がフワフワしていた。

(やっと、やっと、カナに会える!)

その気持が、ススムを高揚させていた。でも、自分もここまでよく耐えたなという自己満足の気持ちもあったのだった。

喫茶店の扉を開いた。カランコロンと、扉の上部に付いたカウベルが鳴った。

ススムは、視線を走らせた。カナを見つけるためである。でも、造作なかった。カナが向こうから、ススムを見つけて、手を大きく振っていたからである。人目も気にせず、大きく、嬉しそうに、ススムに向かって、、、

ススムが、カナが座るテーブルに着くと、どちらからともなく、言った。

♠♥「やっと、会えたね♪」

二人の目には、大粒の涙がこぼれていた。

こうして、カナとススムは、奇跡の再会を果たした。

 

 


カナとの悲しい別れ でも、ススムは無償の愛を学ぶのである


カナと嬉しい再会を果たし、数週間が過ぎた。

カナは、体調が許す限り、店に出た。ススムも出来る限り、客として店に通った。

仕事から帰宅すると、疲れた声で、カナは、「今日もお疲れ様。おやすみなさい。」とススムに電話をかけて言ってくれた。

でも、こんな状況は、いつまでも続けさせてはいけない、とススムは考えるようになった。

いくら、家にいたくない、お金を稼がなくてはいけない、とカナが言っても、難病を抱えた上に、首の骨を骨折して、1年も経っていない身体で、普通に仕事も、生活も出来るわけはない。

ススムが一度うっかりして、カナの頭をなでてしまったとき、それだけでも、カナはものすごく、痛がっていた。

カナがいる店の酔客が、何もしらずに、酔った勢いで、頭でも小突いだらどうなってしまうんだろう。

そんなことを考えるたびに、ススムは一人でぞっとしていた。

(カナを守りたい。)

そして、ススムはある決意をカナを伝えた。

そう、プロポーズしたのである。



カナが店に出る前に、喫茶店で二人は会う約束をした。カナが、息せき切って、喫茶店に入ってきた。

「大丈夫?また、走ってきたでしょ?」

「うん、はやく逢いたいから、駆けってきた。」(カナの口癖:「走る」を「駆ける」と言う。)

「だけど、身体のことを考えてよ。転んだりしたら、大変だよ。」

「うん、そうだけど、、、でも、、、」と、カナは、悲しそうな顔になった。

ススムは、それを見て、それ以上、強くは言わなかった。

「もうすぐ、お店始まるよね?あまり時間ないと思うから、もうストレートに言うね。」

♥「えっ、なに、なに?」

カナちゃん、僕と結婚しよう。

しかし、、、

カナは、しばらく、黙っていたが、喫茶店に流れるクラシック音楽と同じくらい、静かなトーンで、ススムの目を見て、しっかりと言った。

「、、、嬉しいけど、でも、ススムさんの気持ちには、応えられない。

こんな身体だし、迷惑かけちゃう。それに、ススムさんは、子供大好きだもんね。私は、、、私の身体は、その思いにも応えられない。

ススムさんのことは大好き。

でも、私、ススムさんに会う前から、ずっと思っていたことがあるの。

それは、、、私はずっと誰かに頼るって苦手なの。特に父とか母に頼るのは、無理。

ススムさんに頼るのも出来ない。

一人で生きたいと思っているの。

本当に、ごめんなさい。

ススムさんには、悪いから、私じゃなくて、他の女性を探してもらってもいい。

私は、結婚できない女なの。」

そう言いながら、カナは悲しそうにしていた。

ススムは、すぐにはうまく返せなかった。

カナの気持ちを聴いて、かえって苦しませてしまったと、思ったのである。

自分の思いを伝えて、カナは喜ぶと思っていたので、少し、落ち込んだが、
でも、あくまでも、それは、ススム自身に目が向いているだけだと考えた。

「こっちこそ、ごめんね。かえって、困らせてしまったね。お願いだから、自分を責めないでね。」

そう言って、ススムは、カナの出勤を見送った。

カナは、何度も振り返りながら、とぼとぼと喫茶店を出た。

それを見ていたススムは、こらえることが出来ず、カナの後を追った。

そして、優しくカナを手を握り、店まで歩いた。

ススムは、耳元で、囁くように、カナに言った。

「もう何も考えなくていいよ。いつまでも、カナちゃんのそばにいるから。」

カナは、コクリと頷いた。

二人は、黙って、カナの店へと向かった。



ススムは、考えた。

愛ってなんだろう?

人を愛すってなんだろう?

カナを愛すって、なんだろう?

確かに、プロポーズは断われたが、それで、カナへの愛は終わるのだろうか?

いや、決して、そんなことはない。

そんなことで揺らぐなら、そんなものは愛なんかじゃない。

いや、そんな考えは今更だった。

なぜなら、とっくに答えは出ていたからだ。

カナが交通事故に遭ったとき、ススムは、気づいていたのだ。

カナがどんな身体になっても構わない。たとえ半身不随でも、寝たきりでも、構わない。
カナへの愛は変わらないと。

何かを諦めるのではなく、一生カナを愛そうと、ススムは自分に誓ったのである。



こうして、その後、二人は、恋人同士として、3年を過ごした。

しかし、、、

(えっ、3年って、どういう意味ですか、とあなたは思いましたよね。
残念ながら、二人には、ハッピーエンドはないのです。)

ススムは、交通事故前と同じように、カナの店の客として通い、支えていた。

ほんのまれにだが、カナの体調が良い時に、ススムの部屋にカナが遊びに来た。

(でも、カナの身体が無理だったので、男女の営みは難しかった。キスをするのも、気をつけないと、カナの頭を動かして、痛くさせてしまうので、軽いキスしか出来なかった。)

3年と言っても、カナの体調は、よくなることはなかった。後遺症が出て、全身が思うように動かなっていたのだ。それに持病の膠原病も余計にカナの身体を苦しめた。

(私は、カナの前では、笑顔を絶やさないように努力していましたが、一人になると、カナのことを思い、泣くことが多くなっていました。)

一ヶ月もの間、外に出られないときもあった。

二人が逢えても、カナは、つらそうにしていることが、増えていった。

そんなカナの様子を見て、必死に、なにか良い薬はないかと、探した。

高額の薬を見つけては、カナに買ってあげた。

祈祷がいいのではないか、どこかに名医がいないかと、ススムはあちこち奔走した。

カナのために何でも出来ることを、ススムはやった。

でも、、、

3年が過ぎて、カナの体調が以前よりも、ますます、悪くなっていった。

無理して、仕事に出ていたカナだったが、いよいよ、店に行くことが難しくなった。

あるとき、カナは、ススムにこう告げたのである。

「もう、無理かもしれない。仕事も出来なくなったら、嫌でも、親に頼るしかなくなるの。

そのときは、私の人生は、自由のない人生になってしまうの。

そして、きっと、ススムさんにも、会えなくなると思うの。」

そんなことを話していたカナが、

青ざめた顔を化粧で隠して、ススムの部屋に来た。

その日は、ススムの誕生日だった。

3年前の約束で、ススムの誕生日会をしたいと、カナは言ってくれていた。

それを、今、果たそうとしてくれていたのだ。

それまで見たことのない様子で、本当に、つらそうにしているカナだった。

それでも、カナはススムのために、バースデー・ケーキを頑張って作ってくれたのである。

ススムは、直感で覚悟した。

(カナは、きっとこれが最後と、無理をして来てくれたんだ。)

生クリームをホイップするのを、手伝いながら、二人で、ケーキを作った。

初めての共同作業だった。

出来上がったケーキにろうそくを刺し、火をつけた。

部屋の明かりを消し、カナが歌を優しく、小さな声で、心を込めて唄ってくれた。

「Happy Birthday to   you 、、、Happy   Birthday 、Dear ススムさん、Happy Birhday  to you」

ススムは、泣いてしまい、ろうそくの火を消すことが出来なった。

代わりに、カナが笑顔を作って、消してくれた。

そして、カナは、「じゃあ、プレゼントあげるね♪」と、ススムの目の前で、服を脱ぎ、裸になった。

カナは、ススムの手を取り、寝室に引っ張った。

「えっ!いいよ。」

「でも、、、」

それでも、ススムは何も出来なかった。

カノの身体を抱くことは、怖かった。

もしもっと傷つけてしまったらと、考えると、一緒にベッドに横になることは出来なかった。

ススムは、立ったまま、裸のカナを愛おしく、そっと腕を回すだけだった。

(カナの首から背中にかけて、大きな手術後が見えました。そんな姿を見たとき、なおさら、何も出来ませんでした。)

これがカナとススムの最後の逢瀬だった。



それを最後に、二度と連絡は取れなくなっていた。

カナの携帯にかけても、カナはもう出ることはなかった。留守電メッセージを入れても、それをカナが聴いた形跡はなかった。(留守電メッセージは、5日後には、自動で削除されていた。)

カナの店に電話しても、カナの母親から、体調が悪いので、しばらく休みますという連絡があったことを知った。

カナは、自分の家で、或いは、病院で、静養しているに違いない。

カナは、覚悟したのだと、ススムは思った。

どんなにつらくても、自由に生きる自分を諦め、家族に、自分の身を委ねるしかないと。

こうして、カナは消えたのである。

(ここまで、書いていて、思うことがあります。カナへの強い思い、どんな身体であってもカナへの愛は変わることはない、そう思っていたのに。

なぜ、引き下がったのだろう?

なぜ諦めることをしたのだろう?

当時の私は、諦めたくはなかった。しばらくの間、悶々と苦しんでいました。

諦めたくない、でも、カナは、もう身体が言うことが聞かないのだから、理解をしてあげるべきだ。

そんな自己矛盾を抱えていました。

そして、諦めるというより、交通事故の後、6ヶ月経って、連絡をくれたように、またカナから連絡があるのではと、待っていました。

待ち続けました。

でも、その間に、カナが私に言ってくれた言葉を、ずっと考えていました。それは、身体が言うことを聞かなくなったら、もう会えなくなる、という言葉でした。

その言葉を噛み締めていました。

そして、待つことより、カナを心の中で、ずっと思うことにしようと結論づけたのです。)



(寂しさや悲しさを当初は味わいました。でも、時が経つにつれ、カナに出会えたことに感謝できるようになりました。

それは、自分がカナとの出会いによって、成長できたからだと思います。

精神的にも強くなりました。

また、カナの高い人間性を学ぶことも出来ました。

そして、何より、人を愛すということが、どういうことなのか、知ることが出来たと思います。

それは、純粋に相手のことのみを思い、何が出来るのか、考え、ひたすら、その人のために生きるこということです。

私は、身を持って、無償の愛を、学ぶことが出来たのだと思います。

なので、カナには、感謝の気持ちしかありません。)

(カナが、これを私と思ってねと、私の誕生日にくれたプレゼントです。)


 

いかがでしたか?悲しい終わりになってしまいましたが、私は、カナとの出逢いと触れ合いによって、さらに人間として、成長できたと思っています。

これにて、私ススムの連載型ストーリーは、一旦終わりにさせて頂きます。

最後まで、お読みくださって、大変ありがとうございます。

ススム



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