第4話:仲間に入れてもらえる幸せ

 


第4話:

仲間に入れてもらえる幸せ
「最高の
後夜祭だね!」

 

 

皆さん、引き続き、ススムの連載型ストーリーをご覧頂き、ありがとうございます^^

第3話に入る前に、前回第2話はどんな話だったか、思い出してほしいと思います。


<<前回までのあらすじ>>

ススムが務める商業高校は、女子の数が圧倒的に多く。30名程しかいない男子たちは、隅に追いやられていた。その中の1年生の男子たちが、ススムにサッカー部設立を依頼したのである。

ススムは喜んで、その設立のために動くだが、体育のベテラン教師に大反対され、ピンチに陥った。しかし、ススムの諦めない心と努力によって、職員会議でサッカー部設立は認められた。こうして、ススムは、学生時代から夢見ていた、高校の英語教師でサッカー部顧問となったのである。


ススムは、後夜祭(文化祭)担当となり、その仕事に追われる。

第3話を始める前に、私ススムの高校時代のお話を、少しさせてください。

プロフィールをお読み頂いた方は、私の高校時代はおわかり頂いていると思いますが、私は、学校に通うことが嫌になり不登校のときがありました。

なので、学校行事も、きちんと参加したことはありません。特に、文化祭は、そんなものに参加して
何の意味があるんだ、と勝手な理屈をつけてさぼっていました。

高校時代は、サッカー部の活動以外は何もやっていません。
(授業はさぼっても、放課後部活だけは出ていましたw)

正に暗黒の高校時代でした。

だから、高校教師になって部活だけでなく、学校行事に生徒たちと携わるようになったとき
思ったものです。

(今が、私の真の高校時代なのだ)

と。


ススムはようやく、サッカー部設立を認めてもらい、初めは、意気揚々としていたが、その後、部員集めや練習も芳しくなく、気持ちの晴れない日々が続いた。



秋になり、学校では文化祭が行事として、開かれる季節となった。

ススムにとっては、少しの間、サッカー部の心配事から、心を離す必要が生まれた。

ススムは、生活指導部の担当として、文化祭の準備に追われることになったのだ。
(ススムは後夜祭担当になった。)

仕事自体は、後夜祭委員会の生徒と一緒に、企画を練り、使用する体育館のステージの飾り付け、照明や音響、司会進行、出演順、リハーサルなどをやっていく。

まるでプロデューサーのような仕事なので、ススムには、相に合っていた。大学時代のサークルで、学園祭に参加した時に会長として、似たような仕事をやっていて、慣れていたからである。

もっとも、この時の経験で、ススムは、こんな楽しい仕事はないと、思うようになったことは事実である。

(私の生涯の教師生活の中で、5回も文化祭担当になっています。本当に、性に合っていたのだと思いますし、文化祭担当になったお蔭で、ある学校の雰囲気を私一人で、一変してしまったこともあります^^

因みに、文化祭担当の仕事を数多く行なったお陰で、何かの企画作りの上で、目標、スローガン、スケジュール作り、方法、実施内容等の、いわゆる実施要項を策定することが得意となりました。

また、計画作りをするうちに、その全体像を考えることが習慣化し、その後の頂いたリーダーの仕事においても、大いに役に立っています。)

ただ、一つ気の重いことがあった。それは、中田先生から、伝えられていた話である。

「沢田先生は後夜祭を担当するんだよね。後夜祭は、体育館のステージを使うから、管理している体育科に、打診しなくちゃいけないよ。そう、もうわかっているよね。

小橋先生に頭を下げる必要があるよね。ハハハッ、沢田先生、もう緊張している!w 大丈夫だよ。
毎年、後夜祭は体育館でやっているから、反対されることはないから。でも、早めに小橋先生に依頼しに行ってね。」

それを聞いていたススムは、その場に
硬直して突っ立っていた。
第2話にあるように、私はサッカー部設立の際、小橋先生に猛反対されているのです。)


ススムは、後夜祭に出演する生徒のバンドに、メンバーとして入れてもらえる!

秋になり、文化祭の日が近づいて来た。

後夜祭担当のススムは、その舞台に出演する、バンドや出し物を行ってくれる有志の生徒たちを、募る必要があった。

その中に、3年生の男子を主体とするバンドがいた。

(彼らは、元々ススムがサッカー部に、誘っていた連中でもあった。)

彼らに、ススムは、どんな曲を演奏するのか、話を聞くと、当時出だしのサザンオールスターズをやるという。それを聞いたススムは、一緒にやらせてほしいと頼んだ。

ススムは学生時代に、バンドを組んで学園祭で楽しいひと時を、経験していたので、生徒の仲間に入れてもらえたら、こんなに嬉しいことはないと、考えたのである。

教師が、生徒と一緒に出演してくれることに喜んだ彼らは、すぐにOKの返事をくれた。
(ススムは、ベースを担当することになった。)

そして、土日になると、ススムは、スタジオに呼ばれて、男子たちと一緒に練習した。

正直それほどうまくはないススムだったが、優しい彼らは、一緒にやってくれるだけで、良しとしてくれたのである。

そんなある日曜日の午後、スタジオでのバンドの練習も終わり、電車で帰ろうと駅まで行くと、そこにバンドのメンバーのツトムが駅の改札前に、ヘルメットを持って、立っていた。

「先生、はい! このメットかぶって、そんで後ろに乗って、俺にしっかりしがみついていてよ。じやないと、振り落とされるからね。」

と、ニヤリと笑いながら、ツトムが単車を走らせた。ススムは後部座席で、必死になって、彼の身体にしがみついた。

「おいおい、そんなに飛ばすなよ!」(*_*;

と言っても、爆音に消されて、ススムの声は通らなかった。

ススムとその生徒は、二人乗りの単車で、バンド仲間が待っている中華料理屋に、向かっていたのである。

後でわかったことだが、スタジオで練習が終わると、彼らは行きつけの中華料理屋で、中華丼を食べることを恒例としていた。

ススムはなぜ中華丼なのか、あえて理由は尋ねなかったが、その中華料理屋で、待ち構えていた生徒たちが

「先生! みんなで中華丼食おうぜ!」

他にもメニューはあったのだが、有無を言わせずススムは生徒たちに中華丼を食べさせられたw

このときの中華丼の味は、もう忘れてしまったが、そこに誘ったということは、ススムは仲間になったんだよという、彼らの意志表示だったのだ。

(なんていい奴らなんだ!)

と、ススムは中華丼を頬張りながら思った。

そして、

(僕は、生徒たちに
慕われているんだな♪)

と強く思った。


いよいよ、ススムたちのバンドの出番が来た! 後夜祭は最高潮に!

中華丼を通してw、ますます仲が深まったススムと生徒たちは、文化祭の後夜祭を迎えた。

ステージの横で、出番を待っていたススムたちは、ワクワクしていた。

体育館の中は、それまでの出し物で盛り上がっていて、そのオオトリがススムたちだったでのある。

(後夜祭の担当が、私ススムだったのですが、出演順に手を加えたのでしょう? とあなたも、お思いですよね。もうずっと昔のことなので忘れました(^_-)-☆ )

いよいよ出番が来て、サザンの曲を、練習通りに演奏していく。それを観ていた生徒たちは、どんどんステージ前に集まってきて、まさに最高潮の雰囲気になった!

ススムは、心から、生徒たちに感謝していた。

と、突然!

ギター、ベース、キーボード、それぞれのアンプからの音が出なくなった。すべてのアンプが止まっていたのである。

そして、なぜか、体育館の天井の明かりが点いた。

(後夜祭の雰囲気を出すために、照明はステージの明かりのみだったのに。)

そこに居合わせたすべての生徒たちが、呆然としている...

「はい! もう時間だ! 終わり! 終わり! 」

と大きな声が、体育館の後ろの方から聞こえた。

(もうお分かりですよね。その声の主は、体育科の長老の小橋先生でした。

確かに、終了予定時刻を過ぎていましたが、そんな仕打ちはないと、泣くに泣けない生徒とススムでした。)

すると、突然、なぜか、またアンプの音が出始めたのである。男子たちは、悔しさの中、演奏を再開した。

ススムの横に立っていたベース担当の横田が動揺することもなく、ニコニコして、ススムにも、演奏するよう促した。(ススムとツインのベースでした。)

ススムたちは、小橋先生を始めとする、数名の先生たちが壇上に上がって、止められるまで、演奏をやめなかった。

「あんたは、何の担当なんだ!後夜祭担当なんだろう!生活指導部の人間なんだろう!それなのに、生徒たちを煽ってどうするんだ!」

ススムは、その小橋先生の言葉に、演奏を止めて、唇をかみしめて、ただそこに立っているしかなかった。

(因みに、小橋先生とは、私がこの商業高校を離れるまで、残念ながら、和解することはありませんでした。私が、他校へ赴任する際に、お世話になりました、と伝えたとき、

「私は、最後まで、あんたが嫌いだった。」
と、言われました。

正直に言いますね。小橋先生は、私にとっては、目の上のたんこぶでした。w

この人さえいなければ、どんなにスムーズに事が運んだだろう、と思うこともよくありました。
言ってみれば、嫌な上司です。社会人になり、どこかしらの職場にもこういう人は、残念ながらいますよね。あなたの職場はいかがですか?

でも、このような人の存在も、私の成長を促してくれたと、思っています。その人の存在や言動を考えることは、とても嫌なことなのですが、それに対して、自分はどう行動したらよいかを、前もって、しっかり考えることが出来るようになりました。

また、自分の思い通りには、世の中、なかなかうまく行かないですよね。

お陰で、精神的に強くなりました。半沢直樹ほどではないですがw)


捨てる神あれば拾う神あり。 途方に暮れるススムを、生徒たちが救ってくれる!

後夜祭では、散々な目にあってしまったススムだったが、一緒にバンドをやってくれた3年生の男子たちは、いたって落ち着いて行動してくれた。

後夜祭の後片付けを、彼らは率先して、後夜祭委員会の生徒たちと行い、誰かに喚くわけでもなく、怒る様子も見せることなく、大人な対応してくれたのである。

ススムは、そんな彼らの態度に感心し敬意さえ抱いた。

「先生、いっしょにやってくれて、ありがとう!楽しかったよ!」

その言葉を聞いて、ススムは泣きそうになった。しかし、大人な彼らの言動を見て、ススムは、泣くのをこらえた。

その振る舞いに接し、ススムは、学んだのである。

何か、ことが起きたとき、どんなに風に振る舞うのかで、その人の人間性がわかるが、生徒、先生の立場や年齢は関係ないのだと。

(実際、教師生活20年以上の中で、私は、人間とは何かを生徒たちから、沢山学ばせてもらっています。

高校生は、もちろん、社会的には自立していない未熟な立場です。人間的にも成長期にあります。

ただ、生徒たちは、純粋です。純粋だからこそ、ストレートに、人間の持つ喜怒哀楽や心の機微を見せてくれるのです。それは、大人たちが見せたくても、いつの間にか、心の中にしまい込んでいるものです。

良くも悪くも「大人」として、行動し、人間の持つ尊い真っ直ぐな気持ちをどこかにやってしまっています。生徒たちは、その心の純粋さを示してくれました。

さらに、それとは逆に、時として、生徒たちは、大人として行動する態度を見せてくれたました。時と場合によって、感情をコントロールし、しっかりと行動できるのです。そして、場をわきまえない大人を冷静に批判する力も持っています。

また、私が教師として接してきた生徒たちは、生きることに真面目で、ひたむきでした。何かに挫折したり、悩んだり、不安を抱えていたり、上手くいかず苦しんでいたり、、、、

でも、そんな心を抱きながらも、前に進むことを諦めることなく、不器用に歩む姿を見せてくれました。

その彼ら高校生たちの姿は、人間の本来持っている美しい心を示してくれたのだと思います。そして、私は、その生きる姿に感動し、人は何かを学ばさせてもらったのです。

こんな風に、私は、高校生を評価しています。それは、やはり、高校教師として、彼らを心より愛していたので、多少のえこひいきもありますが…。w)

その3年生たちが、

「先生、サッカー部の部員いなくて、困っているんだよね? 

俺たち手伝おうか?もう高校生活も少ないし、進路もみんな就職先が決まっているから、暇なんだ。」

と、言ってくれた。

(サッカー部は、その時、6人しかおらず、活動もままならず、試合もできない状況でした。)

その言葉、まさに

(待ってました!)

願ったり叶ったりだった。

(これで大会に
出られるぞ!)

捨てる神あれば拾う神ありだなと、ススムは素直に喜んだ。

こうして、サッカー部は、合計14名となったのである。

(バンドの3年生の4人に誘われて、遊び仲間だった2年生も4人加わってくれた。)

ススムの心は、晴れやかだった。
そして、明日からのサッカー部の練習を心待ちにしていた。


 

第4話は、ここまでです。

最後まで、お読み頂き、ありがとうございました。いかがだったでしょうか?

あなたのご感想を伺いたいなって、勝手ながら思っています。アナログ人間なので、まだ方法がわからないのですが、あなたの感想を頂けるような形を、いずれ取りたいと思っています。その節は、ジャンジャンご感想をお寄せください♪




<<次回予告>>

2,3年生の助けで、サッカー部の部員も増え、試合に出られるになったススムのチームは、商業高校大会に出場した。未経験者もいるチームでは1勝するのも、困難な状況の中、一回戦が始まったのである…。

(つづく)

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