初恋はとても淡いもので、いつまでも忘れないですよね。
人を好きになるのは、とても心地よいし、その人のことを考えるだけで、幸せをもらえます。
僕の忘れられない初恋の人は、中学2~中学3年まで、2年間同じクラスにいました。
名前は、中山〇〇子さん。
肌は色白、眼がクリっと大きく、いつもボブカットのヘアでした。
普段から、物静かで、清楚なお嬢さんという感じでした。でも、テニスコートに立つと、別人のように、激しいプレーするテニス選手でした。
その落差が、僕にはたまらなく、考えるだけで、脈が速くなり
興奮状態がずっと続き、止まることがなかったのです(笑)
遠足などで撮った集合写真の中山さんの部分だけが、よく見えるように、写真を折り曲げたりして、家で一人になると、じっと見ていました(キモッw)
二人が3年生になっても、同じクラスだったときの喜びは、もう宇宙まで飛んで行きそうなくらいでした⤴
僕はと言えば、毎日サッカーに明け暮れていたサッカー少年で、チームのキャプテンでした。
でも、あるとき、クラスの担任の先生から呼び出され、職員室に行くと、生徒会長の選挙に立候補しなさいと、いきなり言われたのです。
自分の考えを思うように主張できないタイプだった
ススム少年は、心の中では、拒絶していましたが、担任の先生に逆らえず、立候補せざるを得なくなったのです。
このころの僕は、温厚で人にやさしく、人望のある生徒として、見られていました。
(自分では、そんな風に思われるのが嫌でした。人前で目立ちたくないし、一人で好きなことしていたい、根暗な少年だったのですが…)
なので、サッカー部のキャプテンだけでなく、クラス委員長、3つの委員会の委員長(学年委員会、風紀委員会、保健委員会)をやらされてました⁉
とにかく、まわりの人間が僕を推薦するんです。で、他のみんなは自分がやりたくないのものだから、結局、僕が選ばれてしまうのです。
こうして、案の定、生徒会長の選挙でも、僕が選ばれてしまいました。
ただ、このときは、他に立候補者が3人いたので、僕以外の誰かが選ばれると、思っていました。
なぜって、選挙活動は熱心ではなく、選挙までほとんど何もしていなかったからです。
生徒会長に選ばれたとき、
「あ~!なんで僕なんだよ!!」
と、僕に投票した人を恨みました。だれが入れたか分かりませんが(笑)、、、
生徒会長になって、生徒総会というものがありました。
僕は相変わらず、初恋の中山さんのことばかり考えてました。本当に幸せだったからです。
生徒総会はあらかじめ決められた議事に沿って、進めていくのですが、その議事進行は会長の僕がやっていました。
そして、この総会の最中も僕は、不遜にも、中山さんのことをずっと思っていたのです。
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生徒会長の役目として、朝校門に立ち、登校する生徒たちに挨拶していました。そのとき、校則違反の生徒がいると、同じく校門に立っていた生活指導の先生が、違反している生徒を呼びとめ、注意するのでした。
冬になり、生徒たちはコートを着て、登校していました。
校則では、黒か紺色のコートでなくていけませんでした。そんな冬のある日、中山さんが登校してきました。
中山さんが来ていたコートは、黒でも、紺でもなかったのです。カーキ色のおしゃれなコートでした。
僕は、そのまばゆい可憐(かれん)な中山さんの姿を、見とれてました。
それなのに、生活指導の先生が怖い顔をして、中山さんを呼び止め、怒るのです。
僕がその先生を怒りたかった。殴りたかった。
もちろん、そんなことは出来ず、神妙に怒られていると思った中山さんに視線を向けました。
驚いたことに、中山さんは、黙って叱られているのではなく、何かを先生に向かって言いながら、抗議している感じでした。
そして、中山さんは怒った様子で、その場を離れ、学校の中に入って行ったのです。
この場面がその日だけでなく、毎日のように、校門で起こったのです。
生徒指導の先生に負けない中山さんが格好良く見え、強い女子の姿がますます好きになっていました。
でも、どうして怒られるのを分かっていて、校則違反のカーキ色のコートを着て来るのか、訊きたかったのですが、その勇気もなく、中山さんには何も尋ねることは出来なかったのです。
(後でわかったことですが、中山さんのカーキ色のコートは叔母さんからプレゼントしてもらったコートで、他にコートはなく、大事にいつも着ていたのだそうです。)
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生徒総会も終わりに近づいていました。
生徒会長のススムは
もうここしかないと、突然、「これで生徒総会は終了します」という代わりに、
「動議があります!」
と発言したのです。
そして、立て続けに、
「冬、みんなが着るコートですが
色は、黒と紺と決まっていますが、
今はいろんな色のコートがあり
特に女子は、困ると思います。
なので、黒、紺以外も
派手な色でなければ着てもいいという
校則を作りたいと思います。
いかかですか?
賛成の人は拍手をお願いします。
はい!拍手多数ですので、
総会の議決事項として
生徒会長の僕が職員会議で認められもらえるように
みんなの代表として頼みに行って来ます。」
もうお分かりのように、私的に生徒総会を利用しました。
生徒会長の力を使って、たった一人の女子生徒のために、なりふり構わず、動いたのです。
何百人という生徒たちが座る体育館で、一人の女子だけのことを思い、熱く行動したのです。
そうです!!!
もちろん、中山さんだけのために。
人は好きな人のためなら、どんなことでも出来るんだと、身をもって知りました。
校則も変わり、中山さんはカーキ色のコートを着て、登校しても、もう何も生活指導の先生からは言われなくなりました。
それを見て、僕は心の中で
「よっしゃー!」
と叫び、大満足でした。
ただ、中山さんには、恥ずかしくて、中山さんのために動いたとは一度たりとも言えませんでした。
そんな淡い初恋の話ですが、、、
その後およそ30年が経ち、当時のクラスの同窓会がありました。
本当に久しぶりに、僕は中山さんに再会出来ました。
チャンスを見て、隣に座り、中山さんに話しかけました。
すると、中山さんの方から、
「あの時はありがとう。
私のために
ススムさんは
頑張ってくれたのですよね。
今までずっと忘れることはなく
ようやく
お礼が言えるときが来ました。
本当にうれしかった。」
僕はこの言葉聴いたとき、本当によかったと思いながら、30年も前のことを、よみがえらせ、感動して涙しました❤
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